論 文 概 要

 本研究では、バリアフリーの必要性を考察するとともに、身近な施設でのバリアフリー状況を調査し、分析を行った。
 バリアフリーという考えは今急速に広がっている。なぜ昨今バリアフリーという考えが広がったのか、また必要なの
かを理解するため、バリアフリーの概念、バリアフリーの必要性、バリアフリーと私たちの関連、バリアフリーの歴史、
バリアの種類を調査、考察した。その中で、バリアフリーといったときに我々には関係が薄いと思っている人が多いの
ではないかと考えられる。しかし、平均寿命が延びている現在では、加齢による身体機能の衰えを、車椅子をはじめと
する福祉機器で補って生活している。たとえ現在若くても、数十年後には自分も高齢者である。その時に、福祉機器の
機能を損なうような社会状況ではいけない。バリアフリーというのは、我々の生活に直接、密接に関わっているのであ
る。
 次に、街角バリアフリーチェックを行った。ここでは、実際に街でのバリアがどのようなものか、仮に、車椅子に乗
っていたとして、その視点で周りを見てみると見慣れた街に、今まで見えなかったものが見えてくるのではないか。電
車に乗るためにも様々な問題があるのではないか、という視点から考察した。
 そして、もっと身近な町内のバリアフリーの現状を調査した。調査対象は、身近な施設である「あゆみの里」(穴水
町)に選定し、施設を見学させてもらい、入り口、玄関、ドア、廊下、浴室、洗面所などバリアフリーの状況を詳しく
調査した。その結果、随所に優しい心配りがなされていることがわかった。
 最後に、バリアフリーの現状の考察としては、物理的バリアは施設や規格、商品で解決できるだろうということ、し
かし、もっと重要なのは心理的障壁を取り除くことで、この心理的障壁が解消されないことには、本当のバリアフリー
には到達しないと考えられる。
 本研究を進めてきて、思った以上にバリアフリーは重要であるということ、しかし、まだ一般にはバリアフリーとい
う考えが広がっていないということがわかった。今後バリアフリーを考える上で解決すべき課題は多いと思われる。だ
がそれは一人一人が正確な情報知識を共有するところから解消していくものであり、今後の我々の行動一つで簡単に解
決するはずである。
 ともあれ、社会の「バリアフリー化」はまだ始まったばかりである。だからこそ、あちこちに的外れな光景がみられ
るけれど、それがどのようにおかしいのか、どうすれば暮らしやすい街になるのかということを、常に意識している必
要があると思われる。


目次

第1章 はじめに                                                       
第2章 バリアフリー                                                   
 2.1 バリアフリーの概念                                           
 2.2 バリアフリーの必要性                                         
 2.3 バリアフリーと私たちの関係                                   
 2.4 バリアフリーの歴史                                           
  2.4.1 欧米先進国のバリアフリーに関する事例                   
  2.4.2 国内のバリアフリーに関する事例                         
第3章 バリア(障壁)の種類                                           
 3.1 物理的障壁                                                   
 3.2 情報の障壁                                                   
 3.3 心理的障壁                                                 
 3.4 制度の障壁                                                  
第4章 バリアフリーの現状                                            
 4.1 街角バリアフリーチェック                                    
 4.2 町内施設のバリアフリー                                      
  4.3 バリアフリーの現状についての考察                           
第5章 まとめ                                                        
第6章 おわりに                                                      
謝辞                                                                  
参考文献