論 文 概 要

 本研究では、管理技術の一つである機能分析の考え方と方法論について分析、考察を行った。
 まず、機能分析とは何かを理解するために、「管理技術とは」という段階から研究を始め、「VEとは」、
「VEジョブ・プランとは」、「機能分析とは」という順で研究を進めた。
 また、3大管理技術といわれるIE、QCの技法についても調べてみることにした。
 そしてこれらのことを把握した上で、VEジョブ・プランにしたがい、実際に一つの製品を取り上げ機能分
析し、製品の目的構造を明らかにし、他の管理技術との機能分析、VEの違いを考察し、機能分析の利点は何
かなどを研究課題として取り組んだ。
 そこでまず我々は、練習用にリムーバーを選び、本研究製品としてパトライトの機能分析を行なった。
 まずはじめに、機能の定義を行うために、パトライトを分解し、ワークシートに構成要素を書き込んだ。そ
の結果、グローブ、ゴム、電球、反射鏡、リード、受け板、スプリング、電球ホルダー、回転ベース、モータ
ー、ブラケット、ウェイト、ベース、予備電球、コード、タッピングネジA、タッピングネジB、タッピング
ネジC、座金、六角ナットの20個の部品で構成されていることが分かった。
 次に、個々の部品の機能を名詞と動詞により表現し、それを機能カードに転記した。例えば、グローブの場
合は「紫色を作る」「外見をよくする」といった表現の仕方がそうである。そして、基本機能を「停車位置を
知らせる」と定義し、目的と手段の関係になるように個々の機能カードを並べ替え機能の整理を行い、機能系
統図の作成による整理・確認の作業に取りかかった。
 例えば、「光を放つ」機能を目的と見た場合、その手段となる機能が「光を出す」、「光を集める」、「光
を反射する」、「回転ベースを動かす」、「中の部品を保護する」、「反射板と回転ベースを固定する」の6
つが存在しているのが分かる。
 機能系統図を作成することによって、製品そのものの構造が客観的かつ一覧性をもった形で示されるので、
容易に理解することが出来た。さらに、個々の機能の意味とその相互間連を徹底的に考えることによって、機
能面からみた現状の設計の構造的なムダや問題点が発見出来ることが分かった。そして、この段階まで機能分
析することが出来れば、コストダウンへと大きく結びつけることが出来る。


目次

第1章 はじめに                           
第2章 機能分析とは                         
第3章 管理技術とは                                                  
第4章 VEとは                                                      
 4.1 VEの定義                                                  
 4.2 VEジョブ・プランとは                                      
   4.2.1 機能定義                                            
   4.2.2 機能評価                                           
   4.2.3 代替案作成                                          
第5章 QCとは                                                      
 5.1 QCの定義                                                  
 5.2 QCの目的                                                  
 5.3 QC活動                                                    
 5.4 QCの発展の経緯                                           
 5.5 QCの考え方                                               
 5.6 QCを進めるポイント                                       
 5.7 QCの生い立ち                                             
 5.8 QCの手法                                                 
      5.8.1 一般的な手法                                       
   5.8.2 QC七つ道具                                        
 5.9 QCサークル                                                
第6章 IEとは                                                      
 6.1 IEの定義                                                  
 6.2 IEの手法                                                   
 6.3 IEの改善手段および分析単位と分析手法の関係                
   6.3.1 改善の一般手順                                      
   6.3.2 分析単位と分析手法の関係                            
 6.4 改善の基本手法と原則                                         
第7章 IE、QC、VEの比較                                         
 7.1 IE、QC、VEの違い                              
   7.1.1 VEとQCの違い                                     
   7.1.2 VEとIEの違い                                     
第8章 パトライトの機能分析                                          
 8.1 パトライト(分析対象)とは                                  
 8.2 機能の定義                                                   
 8.3 機能の整理                                                   
第9章 考察とまとめ                                                  
第10章 おわりに                                                  
謝辞                                                                  
参考文献