論 文 概 要
                                
  本研究では、製造業の生産管理業務について、実際に企業へ伺って工程調査・ヒアリング調査を
行い比較・分析を行った。
  まず、生産管理とは何か(工程管理・生産計画・受注生産・見込み生産)を文献調査し、あゆみ・生
産管理の領域・手法・ポイントをまとめた。
  調査内容の検討決定、調査対象企業の選定を行った。
  企業での調査手順としては、選定した企業に当日質問する内容を書いた調査票をあらかじめ送り、
回答してもらい、互いの理解を深めるように工夫した。
  調査した企業は繊維製品製造業2社である。H社は、JIT生産方式を自社で改良して管理していた。
一方、M社は、コンピュータと台帳で管理していた。生産形態、生産管理レベルは、対照的であった。
  本論では、まず生産管理の概要を述べ、生産形態と管理の重点についてまとめた。
 次に、調査企業の生産の実態をまとめ、分析し、実態を踏まえた考察、本研究でいうところの"実証
的考察"を試み、当該業種における生産管理の課題を明らかにした。調査した企業2社の生産形態・生
産管理レベルは対照的であった。
 H社・M社ともに多品種対応ゆえ、あらゆる生産の状況に対処するために絶えず計画し、計画的に生
産の仕事を進めていくことが大切だと考える。また、計画はあくまでも具体的で実行性のあるもので
なくてはならない。
 では、良い計画をたてるには5W・1Hを利用することが肝要である。
  つまり、計画をたてるために5W・1Hを利用するのである。
  いつ(When)…「いつから始め、いつ終わるか」―時間(時期)
  どこで(Where)…「どこで組み立てるか」―空間(場所・位置)
  だれが(Who)…「だれに命じるか」―生産主体(人・機械)
  なにを(What)…「なにを必要とするか」―生産対象(材料・製品)
  なぜ(Why)…「なぜ急いでつくらせるのか」―目的(生産の方針)
  どうする(How)…「どうすればうまくできるか」―方法(作業・工程)
 以上のように考えていくと、生産に関係のあるすべての要素や条件を明らかにすることができ、良い
計画がたてやすくなる。(5)
 生産計画は固定的なもので、一度立案したら変更すべきでない、計画を変更するのはめんどくさい、
などという考え方が残っているのはよくない。
 どんな生産システムであろうとも、まず計画的に生産をすることを重視すべきだという考えを持って
いる。
 生産工場に変更はつきものである。変更を怖がって計画をおろそかにするのではなく、変更があるか
らこそ計画が重要だと考えるようにしてもらいたいと思う。
 「生産管理はめんどくさい」とか、「手間がかかってしょうがない」、「管理しても結果は大して変
わらない」というように考えて、担当者の経験と勘だけを頼りに管理を進めたとしたら、やがては生産
を仕事とする企業として、やっていけなくなる。
 ましてや、激しい企業間競争によって生産管理活動が多様化、複雑化、高度化してきている今日にお
いては、なおさらである。
 企業は今まで以上に作業分配を適正化すること。各工程・職場負荷を均一化。余力管理・過程的進度
管理を強化すること。重要工程の重点管理や基準日程計画の設備・管理の簡素化に重点をおくこと。最
新鋭の汎用NC設備等の有効活用による生産性向上、要求(契約)された納期・品質・原価で製造でき
る生産体制を確立すること、設備の日程管理を強化することが重要であると考える。


目次

第1章 はじめに        							 
第2章 生産管理とは							 
 2.1 工程管理とは                                              
 2.2 生産計画とは                                              
 2.3 受注生産・見込み生産とは                  
第3章 生産管理のあゆみ                      
  3.1 第二次大戦前の足どり                   
  3.2 第二次大戦後の経過                    
第4章 生産管理の領域                                              
第5章 生産管理の手法                                              
  5.1 カンバン方式                                              
   5.1.1 カンバン方式とは                                  
   5.1.2 導入上の着眼点                                    
 5.2 MRP生産システム                                        
   5.2.1 MRPとは                                        
   5.2.2 MRPの導入効果                                  
第6章 生産管理のポイント                                          
  6.1 受注生産における生産管理のポイント                        
  6.2 見込み生産における生産管理のポイント                      
  6.3 生産期間短縮のステップ・ポイント                          
  6.4 段取り時間短縮のポイント                                  
第7章 生産形態と管理の重点                                       
第8章 調査結果のまとめ                                           
  8.1 調査対象企業の概要                                        
      8.1.1 H社の概要                                        
   8.1.2  M社の概要                                        
  8.2 調査概要                                                 
  8.3 調査結果の概要                                            
  8.3.1 調査結果の詳細分析                                
第9章  まとめ                                                   
第10章  おわりに                                                 
謝辞                                
参考文献                              
付録